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一口大歌舞伎 一口目





 本日は「けも座」へご来場いただき、誠に有難うございます。
 当月は先にお知らせ致しましたとおり、『一口大歌舞伎【ひとくちだいかぶき】』を開催致します。
 これは個々の作品解説の前に、その作品の中で使われている演出などを簡単に紹介して、作品だけでなく《歌舞伎》自体の理解も深めようという企画でございます。
 
 ひと口目の演目は『蝶の道行【ちょうのみちゆき】』です。

 これは大まかなジャンルでいえば《舞踊》になります。つまり物語よりも踊りの美しさや曲の気持ち良さを堪能する作品です。
 とは申しましても、やはり物語を理解しておいた方が圧倒的に楽しめるもので、可愛らしい題名の『蝶の道行』にも実はとんでもないエピソードが隠されているのです…。





◆《道行》とは?

 題名にある《道行》とは字のとおり「道を行くこと」「旅の道中」という意味です。
 歌舞伎で《道行》といいますと、物語の後半に差し込まれることの多い“重要な移動シーン”のことで、登場人物(主に二人組)が目的の場所へ移動する行程を、心情や言葉遊びをふんだんに織り交ぜた曲に乗せて《舞踊》として見せる場面を指します。


 この歌舞伎の《道行》の基本を作ったのは、超有名作者の近松門左衛門(以下、モンモン)だといわれます。
 モンモンは元禄十六(1703)年に書いた人形浄瑠璃(=文楽)の作品『曽根崎心中【そねざきしんじゅう】』の中で、それまでは場面転換に使われるだけで個性のなかった《道行》に登場人物の心情を盛り込み、ひとつの重要な場面としてドラマチックに仕上げたのです。

 これはRPGでいうと、戦闘がリアルタイムで進行するようになったくらい画期的なことだと思われます。

 それが人気を呼び、人形浄瑠璃や歌舞伎では《道行》を入れるのがデフォルトとなり、やがて《道行》だけを見せる《道行もの》と呼ばれる舞踊のジャンルまでが生み出されてゆきました。モンモンすげー。



◆《道行》といえば…

 江戸後期の有名な戯作者・山東京伝が天明五(1785)年に書いた『江戸生艶気樺焼【えどうまれうわきのかばやき】』という代表作の中で《道行》のパロディをやっているのですが、普通に笑えるだけではなく《道行》がどういうものなのかが何となく理解できて便利なので、未見の方は是非とも図書館などで探してみてくださいませ。
 黄表紙(大人向けの絵本のようなもの)なのでとても読みやすく、現代人でも楽しめます。

*ちなみに『江戸生艶気樺焼』は何度か歌舞伎にもなっているようです。



◆ついでに…

 先ほどモンモンの名前が出てきましたが、先月紹介した『廓文章』に登場した万歳歌(詳しくはこちらの下の方)が『蝶の道行』にも登場します。
 しかも今回は歌詞を地獄向きにアレンジした特別仕様の「GO TO HELL remix version」!
 本来はおめでたいはずの万歳歌で主役の二人を冥途に送り出すというかなり意地悪な演出になっております。作者の並木五瓶は若いカップルが嫌いなのでしょうか…?


それでは《道行もの》の代表作『蝶の道行』をどうぞご覧ください!



※今回『~倭荘子』について自分なりに調べてみたのですが、資料によって情報に細かな違いがあり、詳細な物語どころか正確な題名の読み方すら分からずじまいでした。
 そのため、解説やあらすじには“いつも以上に”当方の勝手な解釈が含まれています。あらかじめご了承ください。



平成廿三年五月吉日  けも座座元 けものはし


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