蝶の道行【ちょうのみちゆき】
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*ゲーム画面で楽しくわかる!
→あらすじ
◆初演データ◆
◎並木五兵衛(五瓶)
◎天明四年(1784)閏一月、大坂嵐他人座
*歌舞伎作品『けいせい倭荘子(けいせいやまとそうじ)』の《道行》として演じられる。が、曲調は今と全く異なる。
↓
◎文政元年(1818)十二月、大坂稲荷境内
*原作の《道行》とその直前の話だけを抜き出し、人形浄瑠璃(文楽)の作品として作り変えた『傾城倭荘子』が上演される。その際に曲調を大幅に変えたものが今に残る『蝶の道行』。
↓
◎文久元年(1861)三月、大坂座摩神社境内
*それまで『二世縁花の台【にせのえんはなのうてな】』もしくは『しづの手わざ 四季のたわむれ』という曲名で呼ばれていたのを、初めて『蝶の道行』と改題して上演。
↓下のCD帯をクリックすると歌詞カードが見られます。

*歌詞の中にある「かぎかっこ」の部分は、歌の一部として語られます。役者の台詞ではありませんのでご注意ください。
◆解説◆
歌と踊りで物語を表現する《舞踊》。
◆原作は歌舞伎?人形浄瑠璃?
最初は歌舞伎として演じられ、後にその一部が人形浄瑠璃用に作り直されて復活したのがいわゆる『蝶の道行』で、現在の歌舞伎版の演出はその浄瑠璃版を更に歌舞伎用にアレンジしたものです。
江戸時代から歌舞伎と人形浄瑠璃は深い関係にあり、特に歌舞伎には人形浄瑠璃を原作にした演目が多く見られます。
しかし『蝶の道行』の演出が確立されるまでの流れを見れば、それが一方的な関係ではなく、持ちつ持たれつでお互いの良い部分を吸収しあって来たことがよくわかります。
現行の演出は昭和三十七年(1962)六月、歌舞伎座で上演した時のものを採用することが多いようですが、歌舞伎に戻ってきたのが昭和に入ってからなので古典に比べて自由度が高く、衣装や振付も含めて様々の形があります。
そのため自分の好みに合った演出に出合えるかどうかで作品の印象が大きく変わる作品といえるでしょう。

◆「荘子」とは?
原作の題名にある「荘子(そうじ)」とは中国に実在した思想家・荘子(そうし。こちらは濁点なし…紛らわしい)の記した書物の名で、その人の有名な説話に「胡蝶の夢」というのがあるそうです。
「夢の中で蝶になった。目を覚ましたら荘子(いつもどおりの自分の姿)だった。
これは人間の荘子が蝶の夢を見ていたのか?それとも私は本当は蝶で、人間の荘子になった夢を見ているのか?
私にはわからないが、どちらにせよ私は私だ。」
というもので、ようするに「コジコジはコジコジだよ」みたいな事でしょうか。
歌舞伎には中国の"故事"を無理矢理"こじ"つけたネタ(何だかさっきから"コジ"ばっかりですね…)が多く見られます。
『~倭荘子』の場合も「胡蝶の夢」から引いていますが、厳密に元々の意味を活かしているわけではなくイメージを利用しただけと考えるのが自然でしょう。
『蝶の道行』では他にも「万歳歌」や「馬子唄」の歌詞をアレンジして使っています。
どちらも一見するとただの雑なコラージュに思える乱暴な引用なのですが、それだからこそ生まれる一種異様な雰囲気が作品にとても活かされています。

◆始めからクライマックス!
歌舞伎ではよくあることですが、この作品は長い話の一部分だけを抜き出したせいで全体の流れがまったく掴めません。
前後の物語がわからないままクライマックスだけを見せるという「名作アニメの最終回特集」的手法はある意味で大変に贅沢なことですが、ありがた迷惑だと感じる方も多いでしょう。
単純に“つまらないから上演しない”場合も多いので一概には言えないのですが、《通し上演》でこそ面白くなる作品があるのも事実です。
はたして『蝶の道行』がどちらにあたるのか、あらすじを読んで想像してみては如何でしょうか?
*ゲーム画面で楽しくわかる!
→あらすじ
◆初演データ◆
◎並木五兵衛(五瓶)
◎天明四年(1784)閏一月、大坂嵐他人座
*歌舞伎作品『けいせい倭荘子(けいせいやまとそうじ)』の《道行》として演じられる。が、曲調は今と全く異なる。
↓
◎文政元年(1818)十二月、大坂稲荷境内
*原作の《道行》とその直前の話だけを抜き出し、人形浄瑠璃(文楽)の作品として作り変えた『傾城倭荘子』が上演される。その際に曲調を大幅に変えたものが今に残る『蝶の道行』。
↓
◎文久元年(1861)三月、大坂座摩神社境内
*それまで『二世縁花の台【にせのえんはなのうてな】』もしくは『しづの手わざ 四季のたわむれ』という曲名で呼ばれていたのを、初めて『蝶の道行』と改題して上演。
↓下のCD帯をクリックすると歌詞カードが見られます。

*歌詞の中にある「かぎかっこ」の部分は、歌の一部として語られます。役者の台詞ではありませんのでご注意ください。
◆解説◆
歌と踊りで物語を表現する《舞踊》。
◆原作は歌舞伎?人形浄瑠璃?
最初は歌舞伎として演じられ、後にその一部が人形浄瑠璃用に作り直されて復活したのがいわゆる『蝶の道行』で、現在の歌舞伎版の演出はその浄瑠璃版を更に歌舞伎用にアレンジしたものです。
江戸時代から歌舞伎と人形浄瑠璃は深い関係にあり、特に歌舞伎には人形浄瑠璃を原作にした演目が多く見られます。
しかし『蝶の道行』の演出が確立されるまでの流れを見れば、それが一方的な関係ではなく、持ちつ持たれつでお互いの良い部分を吸収しあって来たことがよくわかります。
現行の演出は昭和三十七年(1962)六月、歌舞伎座で上演した時のものを採用することが多いようですが、歌舞伎に戻ってきたのが昭和に入ってからなので古典に比べて自由度が高く、衣装や振付も含めて様々の形があります。
そのため自分の好みに合った演出に出合えるかどうかで作品の印象が大きく変わる作品といえるでしょう。

◆「荘子」とは?
原作の題名にある「荘子(そうじ)」とは中国に実在した思想家・荘子(そうし。こちらは濁点なし…紛らわしい)の記した書物の名で、その人の有名な説話に「胡蝶の夢」というのがあるそうです。
「夢の中で蝶になった。目を覚ましたら荘子(いつもどおりの自分の姿)だった。
これは人間の荘子が蝶の夢を見ていたのか?それとも私は本当は蝶で、人間の荘子になった夢を見ているのか?
私にはわからないが、どちらにせよ私は私だ。」
というもので、ようするに「コジコジはコジコジだよ」みたいな事でしょうか。
歌舞伎には中国の"故事"を無理矢理"こじ"つけたネタ(何だかさっきから"コジ"ばっかりですね…)が多く見られます。
『~倭荘子』の場合も「胡蝶の夢」から引いていますが、厳密に元々の意味を活かしているわけではなくイメージを利用しただけと考えるのが自然でしょう。
『蝶の道行』では他にも「万歳歌」や「馬子唄」の歌詞をアレンジして使っています。
どちらも一見するとただの雑なコラージュに思える乱暴な引用なのですが、それだからこそ生まれる一種異様な雰囲気が作品にとても活かされています。

◆始めからクライマックス!
歌舞伎ではよくあることですが、この作品は長い話の一部分だけを抜き出したせいで全体の流れがまったく掴めません。
前後の物語がわからないままクライマックスだけを見せるという「名作アニメの最終回特集」的手法はある意味で大変に贅沢なことですが、ありがた迷惑だと感じる方も多いでしょう。
単純に“つまらないから上演しない”場合も多いので一概には言えないのですが、《通し上演》でこそ面白くなる作品があるのも事実です。
はたして『蝶の道行』がどちらにあたるのか、あらすじを読んで想像してみては如何でしょうか?
◆予備知識◆
二世【にせ】
現世と来世。
「二世の縁」とは夫婦の縁のこと(仏道で親子は一世、夫婦は二世、主従は三世の縁があるというところから)。
台【うてな】
①四方を見渡せるように作られた高い建物。高楼。
②上って座る場所。台。
唐土【もろこし】
中国のこと。
なずみ
「泥み」と書く。ひたすらに思いこがれること。執着。
かなたこなた
あっちこっち。
比翼【ひよく】
それぞれ一目、一翼しかない雌雄が一体になって飛ぶという中国の想像上の鳥「比翼の鳥」の略。男女間の契りの深いたとえとして使われる。
田がえし
「耕す」と同じ。
苗代【なわしろ】
田植えの前に稲の種を蒔いて、田植えに使う苗を育てる場所。
起き臥し【おきふし】
起きたり寝たりすること。
から竿【からざお】
稲や麦などの脱穀に用いる農具。
娑婆【しゃば】
人間界。現世。俗世間。
冥土【めいど】
死者の霊魂が行く所。冥途。黄泉【よみじ】。
釈栴檀【しゃくせんだん】
インド産の香木の一種。
釈迦如来【しゃかにょらい】
仏教の開祖。
卯月【うづき】
陰暦四月の異称。
涅槃【ねはん】
悟りの境地。釈迦の入滅。
春駒【はるこま】
正月に馬の首の形をした作り物を持って家々を回り、目出度い歌を舞い踊った芸人。
弘誓の船【ぐぜいのふね】
仏、菩薩が生き物を救って涅槃の彼岸(悟りの世界)に送るのを、船が人を渡すのにたとえた言葉。
死出の山【しでのやま】
冥土にあるという山。
鈴鹿馬子唄【すずかまごうた】
三重県の民謡。関の小万、丹波与作の伝説にまつわる流行歌が鈴鹿峠越えの馬子たちによってうたわれたもの。歌詞後半に唐突に挿入される「坂はエー」から「雨が降る」まで。
間の土山【あいのつちやま】
旧東海道鈴鹿越えの宿場町だった土山(滋賀県甲賀市)のこと。
◆主要キャラクター◆
*名前をクリックするとステータス画面が見られます。
●佐国【すけくに】
花を愛する心優しい青年。将来は恋人の小槇と結婚して、ささやかに暮らしたいと願う。
父親は小槇の兄と同じ家に仕えていたが、その家が取り潰された後は絶縁状態にある。
●小槇【こまき】
佐国の恋人。佐国同様に花を愛し、蝶に憧れる女性。
自分の兄と佐国の父が仲違いしたせいで、佐国との結婚が絶望的になる。
◆あらすじ◆
*場名をクリックするとゲーム画面が見られます。
蝶の道行①
蝶の道行②
蝶の道行③
(予定上演時間 約25分)
二世【にせ】
現世と来世。
「二世の縁」とは夫婦の縁のこと(仏道で親子は一世、夫婦は二世、主従は三世の縁があるというところから)。
台【うてな】
①四方を見渡せるように作られた高い建物。高楼。
②上って座る場所。台。
唐土【もろこし】
中国のこと。
なずみ
「泥み」と書く。ひたすらに思いこがれること。執着。
かなたこなた
あっちこっち。
比翼【ひよく】
それぞれ一目、一翼しかない雌雄が一体になって飛ぶという中国の想像上の鳥「比翼の鳥」の略。男女間の契りの深いたとえとして使われる。
田がえし
「耕す」と同じ。
苗代【なわしろ】
田植えの前に稲の種を蒔いて、田植えに使う苗を育てる場所。
起き臥し【おきふし】
起きたり寝たりすること。
から竿【からざお】
稲や麦などの脱穀に用いる農具。
娑婆【しゃば】
人間界。現世。俗世間。
冥土【めいど】
死者の霊魂が行く所。冥途。黄泉【よみじ】。
釈栴檀【しゃくせんだん】
インド産の香木の一種。
釈迦如来【しゃかにょらい】
仏教の開祖。
卯月【うづき】
陰暦四月の異称。
涅槃【ねはん】
悟りの境地。釈迦の入滅。
春駒【はるこま】
正月に馬の首の形をした作り物を持って家々を回り、目出度い歌を舞い踊った芸人。
弘誓の船【ぐぜいのふね】
仏、菩薩が生き物を救って涅槃の彼岸(悟りの世界)に送るのを、船が人を渡すのにたとえた言葉。
死出の山【しでのやま】
冥土にあるという山。
鈴鹿馬子唄【すずかまごうた】
三重県の民謡。関の小万、丹波与作の伝説にまつわる流行歌が鈴鹿峠越えの馬子たちによってうたわれたもの。歌詞後半に唐突に挿入される「坂はエー」から「雨が降る」まで。
間の土山【あいのつちやま】
旧東海道鈴鹿越えの宿場町だった土山(滋賀県甲賀市)のこと。
◆主要キャラクター◆
*名前をクリックするとステータス画面が見られます。
●佐国【すけくに】
花を愛する心優しい青年。将来は恋人の小槇と結婚して、ささやかに暮らしたいと願う。
父親は小槇の兄と同じ家に仕えていたが、その家が取り潰された後は絶縁状態にある。
●小槇【こまき】
佐国の恋人。佐国同様に花を愛し、蝶に憧れる女性。
自分の兄と佐国の父が仲違いしたせいで、佐国との結婚が絶望的になる。
◆あらすじ◆
*場名をクリックするとゲーム画面が見られます。
蝶の道行①
蝶の道行②
蝶の道行③
(予定上演時間 約25分)